比表面積とは?
比表面積とは単位質量あたりの表面積(単位: ㎡/g)のことです。
比表面積測定値は、粉体原料や最終製品の特性や品質をダイレクトに表す重要なデータとなります。
比表面積測定原理(BET法とは)
ほとんどの物質は、非常に低い温度にさらされると、周辺に存在するガスの分子をファンデルワールス力によってひきつける傾向があります。
これを物理吸着(ガス吸着)といい、比表面積測定に用いられる原理です。
BET法とは、ある条件下において、粒子を低温状態にした時に粒子表面に物理吸着したガス量を測定し、比表面積を計算する方法です。
この計算式を導き出したのが
Brunauer 、 Emmett 、 Teller の 3 名で、頭文字をとって BET 法と名づけられました。
BET比表面積測定手法
ガス吸着法は、①流動法 ②容量法に分けられます。
簡単に説明すると、流動法は、ガスの濃度変化を検出、容量法は、圧力変化を検出し、比表面積測定を行います。
流動法は、細孔分布(容積)の測定が出来ませんが、比表面積測定に特化した手法であり、多岐に渡る業界の研究開発や品質管理部門で採用されております。
比表面積の有効性
凝集力の強いナノ粒子は、ガス吸着法における比表面積測定が有効です。
気体分子は隙間も通るため、凝集力の強いナノ粒子でも、分散する必要なく粉体に吸着することが出来ます。
比表面積測定の重要性
比表面積測定は、粉体原料や製品特性・品質をダイレクトに表す重要なデータです。
研究所では新材料の開発や生産方法の確立など、工場では原料の受け入れ検査や最終製品の品質チェックなど、粉体を扱う現場では欠かせないデータです。また、近年では生産ライン全体の生産効率を高めるために、各工程において製品の状態をチェックする企業が増え、その用途は急速に拡大しています。
いくつかの工程を経て中間製品が出来上がっていきますが、次工程へ移る前に、きちんと中間製品が規格内のものができているかをチェックし、次工程へ移行することは大変重要なことです。
一つの工程終了と同時に中間製品をチェックし確実に次工程へまわす。この繰り返しによって品質の安定性は高められクレームの少ないよりよい製品の供給が可能となります。
比表面積測定装置に求められること
比表面積測定装置が使用されている現場では、比表面積測定装置以外にも、多くの測定装置を操作しなければならない環境や、生産ラインの操作と同時に測定を行わなければならない環境などが見受けられます。
また、開発スピードに対する要求や、品質基準の強化に伴う測定精度への要求も年々に厳しくなっています。
このような背景から、測定装置に求められるのは、
① 測定精度
② 測定スピード
③ 容易な操作性
④ 全自動運転
の4つの要素が大前提になります。
これらのニーズに応え、日々改良 改善を積み重ねた装置が、比表面積測定装置Macsorbです。
比表面積測定のアプリケーション例
表面積の大きなものでは、吸湿剤や脱臭炭の場合、大気中の水分や臭いの成分を文字通り「吸着」することが目的 ですので、表面積は大きければ大きい程、能力が高いということになります。
また、化学工業で使われる反応触媒なども表面積が大きい程化学反応が促進されます。
これらの分野では比表面積が非常に大きく、1gあたり数百から1000㎡を超えるものもあります。
一方、表面積の小さなものでは、球状粒子などがあります。材料や用途は様々ですが、粒子を球状に加工することによって様々なメリットが見出せます。
例えばコピー機のトナーの場合、ボトルの中でブリッジを作って出てこなくなることを防止するために流動性を上げるために粒子を球状にします。
水酸化ニッケルやカーボンなどの電池の電極材料なども近年球状化が進んでいます。これは粒子を球形にすることによって電極の充填率を上げ、電気容量を向上させることが目的です。もちろん球状であっても薬の担持体などのように意図的に表面をポーラスにするものは、表面積が大きくなります。
インクなどの色の元となる顔料などの発色材料では、表面積の大きさによって 色合いが変化します。同じ赤でも明るさや濃淡の違いは表面積の大きさによって大きく左右されます。
真密度とは
真密度とは単位体積あたりの質量(単位: g/㎥)のことです。
粒子その物の体積を表し、表面の細孔や内部の空隙を含まないため、真の密度と言えます。
真密度測定原理・手法
ガス置換法に基づき測定を行います。測定ガスはHeガスを用いますが、ヘリウムガスは分子サイズが非常に小さく、サンプル表面の微細孔内部までガスが入り込むことが可能です。
また、Heガスは熱伝導度が高く、室温において理想気体に近い挙動を示すため、非常に信頼性の高い測定結果が得られます。
①温度制御された測定チャンバーと標準チャンバーにヘリウムガスをパージし空気と置換します。
②測定チャンバー側を一定の圧力で加圧していきます。
③バルブを開放し標準チャンバーへガスを拡散させます。
標準チャンバーと測定チャンバーの体積は予め分かっているため、この時の圧力の変化から体積比を求めます。
画像解析式粒度分布測定の重要性
近年の粉体原料のナノ化に伴い、粒子形状の数値化や1次粒子径の正確な評価が求められています。
画像解析式粒度分布測定では、このような評価含め、多角的に粒子評価を可能とします。
また、近年では、研究開発部門のみならず、品質管理の検査項目にて採用が増加しています。